こんにちは、こつぶです。
今までたくさんの後輩や学生を指導してきましたが、多くの人がぶつかる壁があります。
そうです。
「静脈圧」です。
臨床工学技士の後輩は、「圧」という言葉に少しは慣れがあります。
しかし、看護師さんは
という感じで、かなりなじみのない言葉のようです。
一見とっつきにくそうなイメージを抱くと思いますが、ポイントを押さえると理解も楽になります。
3つのポイントに分けて解説していきます。
ポイント1 静脈圧の意味を知る
静脈圧は、治療回路の中がどうなっているのかを監視する「目」の役割をしています。
回路の中の監視を「圧力」で見ているために静脈圧と呼ばれます。
静脈圧はさまざまな原因で変化します。
この静脈圧の変化を、原因と合わせて推測することで、治療回路内の状況変化を推測することができます。
なので、まずは圧力が変化する原因を知っておく必要があります。
ポイント2 脱血側の原因による変化
静脈圧は脱血がうまくできているかどうかを反映します。
脱血側は回路内でも血液を体から取り出す部分のことです。
静脈圧に関連する回路の部位は
バスキュラーアクセスから脱血用穿刺針~血液ポンプまででです。
静脈圧が上昇する原因
- Qbを上げる
バスキュラーアクセスに問題がない場合は、Qbの増加に伴い静脈圧も上昇します。
この上昇は自然なことであり、問題はありません。
静脈圧が下がる・上がりにくい原因
- 脱血が悪い
バスキュラーアクセスに十分な血流がない
穿刺失敗している
- 脱血側回路が折れ曲がっている
血液ポンプで引いても回路が折れているためにうまく血液が取れていない状態です。
- 設定血流量に対して脱血針が細い
脱血針の太さは、脱血可能な血流量に関連します。
細い針は血液を取り出しにくく、太くなるほど血液をとりだしやすくなります。
(ジュースを飲むとき、細いストローよりタピオカを飲むときに使うような太いストローの方が吸いやすいのも一緒)
つまり、うまく体から血液を取り出すことができないときです。
治療途中で静脈圧が下がったり、Qbを上げても静脈圧が上がりづらいときにはこれらを確認しましょう。
治療中に静脈圧が下がってくる原因(変化する場合)
・Vチャンバー手前までの回路内に広範囲な凝固がある場合
あまりみないのですが、Vチャンバーに流入する血液が減少するため静脈圧はさがります。
Aチャンバーのメッシュ部や、ダイアライザの入口部で凝固していることが多いです。
- 患者さんがシャント肢を動かした
- 抜針
ポイント3 静脈側の原因
静脈圧は送血がうまくできているかどうかを反映します。
送血側は回路内でも体に血液を送り出す部分のことです。
静脈圧に関連する回路の部位は
血液ポンプから送血用穿刺針⇒バスキュラーアクセスまででです。
治療中に静脈圧が上昇する原因(変化する場合)
- 送血がしづらくなってきている
回路内、もしくは送血針の先で血液凝固が起きている可能性あり!
- 回路が折れている
Vチャンバーからバスキュラーアクセスまでです。
- 患者さんがシャント肢を動かした
治療中に安定した状態で静脈圧が高い原因
- 送血がしづらい
返血側に使用する血管が細い
返血側血管が人工血管で内圧が高い
返血側穿刺針が細い
ことが原因として考えられます。
安定状態の静脈圧は患者さんによりさまざまですが、私は
200mmHgくらいまでは様子見
同じ患者さんで、大きな変化がないかを確認
(前回90mmHgくらいなのに、今回200mmHgだと違和感を感じる)
のことが多いです。
治療中に静脈圧が下がる場合(変化する場合)
- 送血側穿刺針の抜針
抜針後の状況や警報設定によっては警報がなりません。
体から血液を抜き続け、捨て続ける状況となるため大変危険です。
まとめ
静脈圧を理解するには、静脈圧がどんな役割をしているかを知りましょう。
そして、
安定した状態での圧力
圧力が変化した場合
を脱血側、送血側の原因に分けて考えるといいと思います。
脱血側の原因は
脱血がうまくできているかどうか
送血側の原因は
送血がうまくできているかどうか
です。
少しでも理解の参考になれば幸いです。
それでは。
コメント