【透析】シャント異常!早期発見するためにしっておきたい3つのポイント

新人看護師さん

シャントは透析患者さんにはとても大事なものっていうのはわかるんだけど、

どうやったら日常業務の中で異常に気付くことができるんだろう。

シャントを聴診して音を聞くと異常の兆候がわかるとか聞いたことがあるけど

他に見るポイントはないのかしら?

 

このようなお悩みに答えます。

 

この記事を書いているわたしは、10年以上透析業務を行い、透析クリニックの責任者をしている臨床工学技士です。

 

目次

シャントの不具合 避けたいのは完全閉塞。

シャント異常を早く発見する最大の目的は完全閉塞を防ぐことです。

 

次のバスキュラーアクセスを作成できるかどうか?

バスキュラーアクセス作成までの時間など患者さんに多大な負担をかけます。

 

完全閉塞は兆候がないこともありますが、

シャント血管が細くなる「狭窄」部位が進行して「閉塞」することも多いです。

 

つまり、「狭窄」を早期に発見し対応することが重要。

 

いかに早く狭窄に気付くか?ということが、

患者さんと毎日そばで対応するスタッフとしての腕の見せ所です!

 

それでは「狭窄」に気づくポイントを説明していきます。

シャントの異常は、聴診以外でも推測できます。

シャント異常早期発見のポイントは、

 

臨床にあたる時に「いつもと違うことはないか?」

 

ということを意識してみること。

 

その日だけの経過でなく、透析日ごとの経過を比較するということですね。

 

臨床で変化がみやすいのは以下の3点

  1. ピローのふくらみ
  2. 静脈圧
  3. 止血にかかる時間

 

順番に解説していきます。

ピローのふくらみ

ピローのふくらみ方で、うまく血液が脱血できているか推測できます。

 

  • 脱血ができていない場合:ピローはしぼむ
  • 脱血ができている場合:ピローはふくらむ

 

ピローが透析のたびに、「いつも同じように膨らんでいるのを確認すること」

がシャントの変化に気付く1つ目のポイントです。

 

新人看護師さん
前よりも、ピローのふくらみが弱いかしら?
と感じることがあればシャントのチェックをする必要があるかもしれません。

 

そんなピローは、脱血状況を確認するのにとても便利なのですが、

血液回路内で血液が滞留しやすく、血の塊ができやすい部分です。

 

近頃の透析装置は返血を自動で行うものがでています。

この装置では、返血の際にピローにできた血栓を患者さんに送ってしまう可能性があります。

そのため、ピローを設置しない回路が増えている状況で、残念ながらこの方法は使えなくなってきています。

 

静脈圧の数字

ピローがない回路が増えている中で、頼りになるのが静脈圧です。

 

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今までの経験上、静脈圧に影響する因子が同じ場合、

静脈圧は違う透析日でもだいたい同じくらいの値に落ち着きます。

静脈圧に影響する因子
  • 針の太さ
  • 穿刺の状況(針が血管にうまく入った、入らなかった)
  • シャント穿刺部位
  • Qb(設定血流量)

つまり、2つ目のポイントはいつもどおり穿刺して静脈圧が大きく違わないか?をみるということ。

 

よくあるのは、

新人看護師さん
絶対に穿刺はうまくいったのに、
静脈圧がいつもより低いのよね。
なんでかしら?

というようなときは、シャントが狭窄してきており血流がうまくとれていない場合があります。

 

とくにピローがない回路を使用する場合は、

脱血状況を推測する情報が減っているので静脈圧が役に立ちます。

 

止血時間の延長がないか?

透析治療が終了しシャントから針を抜き止血します。

このとき、シャントに変化があると止血時間がかわることがあります。

 

よくみるのは、シャント狭窄部位より上流に穿刺部位が来ている場合、

穿刺部位のシャント内圧が高まっていることにより止血時間がのびる現象です。

狭窄が発生することにより、シャントの部分部分で内圧が変わることで止血に影響が出ます。

 

ということで、3つ目のシャント異常を推測するポイントは、

止血時間に大きな変化がないか?をみることです。

新人看護師さん
前は10分で血がとまっていたのに最近は15分かかるわ。
私の止血方法がいけないのかしら?

 

という場合は、シャントに変化が起きている可能性も考慮する必要があります。

 

補足:他に役立つ機能や装置

透析装置

透析装置にオプションで便利な機能をつけることができます。

もし、使用している装置にこれらがついている場合は活用すると、

さらにシャントの異常に気付く確率が上がります。

 

  • 推定血流量モニタ:日機装製装置
  • BV plus:日機装製装置

いずれも、実際に取り出している血液の量を推定する機能です。

 

超音波エコー装置

今は超音波エコー装置を設置する施設が増えています。

 

超音波エコー装置はこんなことができます。

  • 血液の流れを測定できる
  • 狭窄などの形を直接みれる

 

うまく使うには技術や知識がいるので勉強する必要がありますが、

かなりシャント管理には有効な装置です。

 

ぜひ使えるようになりましょう。

日常の変化を見落とさないよう心がけよう

今回の記事は以上となります。

 

今回挙げたポイントは、透析のたびに比較することで効果を発揮します。

 

透析のたびに、

「静脈圧はいつもと同じかな?」

「止血時間はのびてないかな?」

など気にすることを習慣にしてください。

 

必ず患者さんの役にたちます。

 

是非実践してみてもらえると幸いです。

 

それでは!

 

 

 

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この記事を書いた人

妻と子供の3人くらし。仕事をしながら積極的に育児参加!
豊かな生活を送るためブログを開始。本業しながら継続を目指してます。生活・育児、仕事(透析)、ブログ&SNSについての情報発信中。

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